ハーブ園芸関連で気になっていた本を読んでみました。
おうちでかんたん 永田農法のハーブ


永田農法の創始者、永田照喜治氏の長女永田洋子さんによる
永田農法でのハーブの育て方に関する本です。
【永田農法について】
永田農法とは植物の原生地の環境に近づけるため、
必要最小限の水と肥料でより香りの高いハーブを育てることが特色で、
「断食農法」「スパルタ農法」「ルーツ農法」など様々な呼び名があるそうです。
培土には、排水性・通気性の高い日向土やパミス(軽石)を使います。
手に入らないときは砂を推奨されていました。
【栽培方法による味や香りの変化】
まず面白いと感じたのは栽培方法による味や香りの変化について。
永田農法では肥料と水をコントロールすることで、
スパイシーなルッコラを作ることも、優しいサラダ菜のようなルッコラを作ることも
可能とのこと。
例として、予約のとりにくいレストランとして有名な、
イタリア料理「ラ・ベットラ」の落合務シェフがルッコラの呼び名を、
辛くてスパイスとして使えるものを「ロケッティ」、
辛くなくてリーフサラダに使うものを「ルッコラ」と使い分けていると。
実際意図的に育て分けるには、水やりのタイミングなど経験が
必要そうではありますが興味深いお話が書いてありました。
【水と液肥だけの理由】
ちなみに永田農法では液肥しか使いませんが、
その理由は有機肥料を使うと残留して肥料を
コントロールするのが難しいからとのことです。
そこまで気にしたことありませんでしたが、
確かに緻密にコントロールしたいのであれば
固形肥料は残量が分かりづらいのかもしれませんね。
【永田農法の原点?】
冒頭でも、トマトの原生地、南米のアンデス地方でのトマトの生育環境の
厳しさとたくましさ、だからこそ美味しく育つという話は納得できるし
このエピソードが永田農法の原点なんだなと思いました。
また、手作りハーブ石鹸の作り方(レシピ)も簡単に紹介されていたり、
フレッシュハーブを使ったフェイシャルスティームについても
独自の方法で紹介されています。
「ハーブでスティームすることにより、老廃物が毛穴から・・・」
なんて見ただけで私は試して見たくなりましたw
美容に使うほど贅沢な量のハーブ、うちでは収穫できませんが^^;
コンパニオンプランツについても触れられています。
トマトとバジルは相性がいいって良く聞きますが、
食べる時だけじゃなくてコンパニオンプランツとしても相性が良かったんですね。
【ハーブを日本で育てるということ】
永田農法では、それぞれの植物の持つ力をしっかり発揮してもらうために、
野菜や果物、ハーブの生まれた原生地の環境を大切にする、という考え方で、
日本は四季がある国だからこそいろいろなハーブが楽しめると言っています。
なるほど確かにそうですね。
熱帯の地域でヨーロッパのハーブを育てるのは大変だと思います。
そう考えると恵まれた環境なのでいろいろ挑戦して育てないともったいないですよね。
著者は南米や東南アジアへ野菜研究家としての調査の経験談、
ヨーロッパとは違うハーブの楽しみ方が書かれています。
ハーブの天ぷらなんて斬新で思いつきませんでした。
【感想まとめ】
永田農法だと栄養も癒し効果も普通のハーブより高いなど、
全体的にやや永田農法推しが強く、ハーブ自体の効能と混ざった
解説になっている部分もある気がしますが、ハーブ含む植物育成について、
環境の違いで育ち方だけでなく、収穫した際の味や食感が驚くほど変わってしまう、
特に痩せた環境の方が香り高く育つ、
という考え方が書かれていてとても参考になりました。
永田農法についての細かな手法等については書かれていませんが、
逆に永田農法をはじめて知る人にとって分かりやすく、
入門として実践しやすいようにまとめられていると思います。